アトピーの民間療法
Q.医療機関の治療と合わせて効果のある民間療法は?
子供の頃からアトピー性皮膚炎で医療機関を受診していて、ステロイド軟膏も症状が強い時は使ったりします。最近は仕事が忙しいためか症状がひどくなってきた気がします。
医療機関での治療と合わせて日常できる民間療法も試してみようと考えています。どのような民間療法が有効ですか?
A.生活の中に自然を取り入れて「こころ」を開放することが効果的です。
ステロイド軟膏はアトピー性皮膚炎の症状を抑えるだけであり、根本的な治療法でないことから、可能な限りステロイド以外の治療法も試みて良いでしょう。
さて、病院以外の治療(民間療法)を試みる方も少なくありませんが、気になるのはその効果です。かなり前になりますが大阪府のある病院で民間療法の客観的な評価を試みています。
これは、民間療法には多種多様な療法があり、その中でどれを試みたら良いのか一応の目安をつけてみようということです。また病院での治療でも治らないアトピー性皮膚炎に対し、病院側としても病院以外の治療へも広く視野を広げ、より良い治療法を検討してみたいという意向によるものです。
約70種類もの民間療法について調査した結果、
健康食品についての効果(改善、悪化率)は、ドクダミ茶(9%、4%)、ヨーグルト・キノコ(9%、7%)、クロレラ(11%、8%)、アロエ(14%、18%)といった具合に必ずしも良い結果は出ていません。
これに対し、海水浴(72%、11%)、温泉に行く(62%、11%)、温泉購入(56%、0%)、気功(42%、8%)、ハリ灸(43%、6%)、食事療法(58%、0%)などは極めて高い有効率を示しています。
中でも海水浴、温泉などは正に自然をそのまま利用する治療法であり、逆に考えれば、現代社会が自然から遠ざかってしまった結果、アトピー性皮膚炎が急増していることを物語っています。従って、海や温泉などの自然に触れることで改善することも考えられます。
気功やハリ灸は古来からの東洋医療ですが、いずれも人間が本来持っている自然治癒力を引き出す治療法で、これも自然回帰につながる方向と言えます。
食事療法の有効性は、農薬や加工品を避けたいわゆる自然食を摂ることさえ困難になっている現代の食生活がアトピー性皮膚炎に影響していることを示していると言えます。
従って、遠ざかってしまった自然にいかに近づくかが、ステロイドを使わない治療法のポイントということになりそうです。
しかし、現代的な生活を捨てて古来の生活に逆戻りすることもできないわけで、現代的な生活を維持しつつ自然の効果を取り入れていくことを考える必要があります。
ここで考慮すべきは、“病は気から” すなわち “心身一如”とアトピー性皮膚炎の関係です。
海水浴、温泉はいずれも職場、学校、家庭(家庭がストレスになっている場合もある)から離れてそのストレス源から解放されると同時に、一気に自然の中にひたれる安堵感、そんな癒され方がアトピー性皮膚炎に効果をもたらしているのではないかと思えます。
ステロイド以外の治療法として、今後、「こころ」即ちアトピー性皮膚炎を悪化させている心理的要素を探っていく時代に入っていくことになるでしょう。
仕事が忙しくストレスが強くなるのにつれ症状も強くなっているという実感をお持ちの方が多くなっています。一度日頃の生活を見直していただき、「こころ」の解放をキーワードにご自分が心地良い環境に身をおく機会を持つ、そんなことからはじめてみるのはいかがでしょうか?