シミと美白の話

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Ⅰ紫外線と皮膚

紫外線の功罪

 太陽光線のうち、比較的波長の短い、目には見えない光線が紫外線です。皮膚に対しては以下のような影響を与えます。

紫外線の功

ビタミンD生合成

紫外線の罪

急性皮膚障害

  • サンバーン(赤くなること)
  • サンタン(黒くなること)
  • 光老化(シミ、シワ等)
  • 光発癌(メラノーマ、各種皮膚がん)

慢性皮膚障害

  • 免疫抑制 (皮膚の抵抗力が弱まる)
  • 光線過敏症(日光アレルギー)

紫外線の種類

UVA(320~400nm)

エネルギーはあまり強くないが、真皮まで深く浸透。

サンタン、シワ、発癌に関与(窓ガラスや雲でもあまりさえぎられないので、時間帯、気候、季節に左右されない)。

UVB(280~320nm)

エネルギーは強いが、真皮までは届かない。

サンバーン、発癌に関与(時間では10:00~14:00がピーク、季節では5、7月。雨の日は快晴の1/3量になる)。

UVC(190~280nm)

地球上にはあまり届かない。

シミのできるしくみ

 紫外線から皮膚の深部を守るために、表皮深層(基底層)にあるメラノサイトがメラニン色素を産生し、皮膚に暗幕をはるようにして紫外線の侵入を防ぐ、一種の生体防御機能です。

 作られたメラニン色素は表皮にとりこまれ、いずれターンオーバーとともに垢となって剥がれますが、加齢などでターンオーバーが乱れているとうまく排泄されずに残り、それがシミとして見えるのです。

Ⅱシミの原因

 シミができる、できないには、以下の要素が関与します。

紫外線

 一度にたくさん浴びなくても、毎日少しずつ皮膚への影響が蓄積されて、徐々にシミを形成します。

 特にUVAはエネルギーが弱いので、浴びている自覚もないまま、皮膚の深部をじわじわと傷つけ、コラーゲンを破壊し、DNAを損傷します。

 その傷が積み重なって、あるレベルに達すると急に目に見えるようになります。

 毎日、「たいして日差しが強くないから」「短時間だから」とUVケアを怠っている人は、気付かないうちに負の貯金を貯めているようなもの。貯金箱がいっぱいになって、あふれ出してから慌てても遅いのです。

 一般に、蓄積された光老化を自覚するのは30代後半くらいからと言われていますが、貯金のスピードと、もともとの貯金箱の大きさで、個人差が出るのです。

スキンタイプ(skin type)

  皮膚科学的には以下のように分類します。

  1. 赤くなりやすく、黒くなりにくい。
  2. 赤くなって、その後黒くなる。=(約70%の日本人)
  3. 赤くならずに、すぐ黒くなる。
  4. もともと色黒である。

  赤くなりやすい人ほど、紫外線に対してはもともと皮膚が弱いと言えます。

生理的紫外線防御機構

 角質層=生理的紫外線散乱剤(手掌、足底は日焼けしにくい)

 メラニン色素=生理的紫外線吸収剤(黒人は光老化、光発癌が少ない)

 活性酸素抑制機構=紫外線によって皮膚内に発生する活性酸素を除去する物質。ビタミンA、C、E、グルタチオン、ウロカニン酸など。

 以上のような防御機構があり、防御力の強さにはもちろん個人差があり、スキンケアや生活習慣も影響します。

内分泌(ホルモン)的要素

 黄体ホルモンはシミをできやすくします。つまり生理前~生理中、ピル内服中、妊娠中はシミができやすいです。

紫外線感受性を高める物質

 ソラレンという物質があり、レモン、パセリ、クロレラに含まれます。レモンパックをして日に当たってはいけません。

遺伝的要因

 雀卵斑(そばかす)は遺伝します。

加齢

 ターンオーバーの低下、3)の防御機構の低下がみられます。

薬剤

 ある種の薬剤は、光感受性を高めることがあります。

Ⅲシミの分類

 シミというのは医学用語ではなく、医学的にはだいたい以下のように分類されます。

老人性色素斑

 頬骨など日光の強く当たるところにできる。境界明瞭なものや隆起するものは、レーザーでないととれにくいことが多い。淡いものやぼやけたものは、美白剤が有効。

雀卵斑

 遺伝性があり、10才を過ぎたころから出始める。鼻背を中心に散らばったように出る。レーザーでないと除去は難しい。(いわゆるそばかす)

肝斑

 女性ホルモンが影響する。ホルモンバランスの乱れる妊娠中、更年期、ピル内服時などに出ることが多い。レーザーは不効。トラネキサム酸内服がよい。(グレーっぽいことが多い)

炎症性色素沈着

 ニキビ、やけど、すり傷、炎症に続発して出る。ケミカルピーリングが大変有効である。(化粧品かぶれ等からできることがある)

 以上の全てのシミは、紫外線でより濃くなり、とれにくくなります。

 その他、以上のどれにも分類し難い、原因不明のものもあり、また、自分がシミと訴えるものの中には、アザ(母斑)、いぼ等も含まれていることがあります。

 自分でケアしてみてとれないものは、まず皮膚科で診断してもらうことが必要です。(アザでも生まれつき存在しない思春期頃に現れてくるものもあり、素人が見分けるのは難しいです。)アザやいぼには美白剤はほとんど無効です。

Ⅳシミの予防

サンスクリーン

 成分的に2種類あることを知っておいて下さい。(市販のサンスクリーン剤には両方入っているものと、どちらか一方のものがある。)

紫外線吸収剤

 文字通り紫外線を吸収する成分。

 桂皮酸、オキシベンゾン等が安定が高いとされる。UVAに関しては吸収率が低下しやすいものが多かったが、メギゾリルSXという、UVA吸収の新成分が開発されて注目されている。

 PABAという成分が昔よく使われ、時にかぶれの原因となったが、現在PABAフリーが主流になりつつある。

紫外線散乱剤

 鏡のように紫外線を反射する成分。酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、タルク、カオリンなど。

 吸収剤は、吸収力に限界があるため、つけ直す必要がある。例えて言うなら、雨の日にかさをさして歩くのが散乱剤、バスタオルをかぶって歩くのが吸収剤ということ。

 ただし、散乱剤はつけた時白っぽくなりやすいのが欠点。そのためSPF値の高いものは少なかった。それが最近ではかなり微粒子化して、透明感を出したものが開発されつつある。

 吸収剤は、刺激性が出ることがあるので、敏感肌の人がデイリーに使うなら、吸収剤フリーのものが望ましい。

その他

 紫外線が皮膚に侵入した際発生する活性酸素を除去する成分として以下のようなものを配合したサンスクリーンもある。グルタチオン、油溶性甘草エキス、イチョウエキス、オウゴンエキスなど。

 玄関先で紫外線と戦う吸収剤や散乱剤に対し、万が一家の中まで入られてしまった紫外線にも対応しようとする成分。

SPFとPAについて

SPF=サンスクリーン塗布部MED(最小紅斑量)÷サンスクリーン非塗布部MED(最小紅斑量)

 つまり、そのサンスクリーンを使うと、何倍サンバーンを起こしにくくなるかということ。実際、モニターの腕にサンスクリーンを塗って、(1㎠あたり2㎎塗る。)紫外線を当てて赤くなるまでの時間を測って決めている。

 ただし、あくまでサンバーンのみに関して測定されているもので、何倍「シミができにくくなる」ではないことに注意。(シミができるまでの時間に関しては、複雑な条件がからむため測定不能。)

PA=サンタンが起こるまでの時間を延ばす力。
  • PA+   2~4倍
  • PA++  4~8倍
  • PA+++ 8倍以上

 SPFはUVBを、PAはUVAを遮断する力の強さを示すものだが、上記のように難解なのでおおむね以下のような使用基準がある。

洗濯物を干すなど1時間まで日常的外出    1~3時間レジャー      3時間以上
スキンタイプⅠSPF10、PA+SPF30、PA+++SPF50、PA+++
スキンタイプⅡSPF10以下、PA+SPF20、PA++SPF30、PA+++
スキンタイプⅢSPF5以下、PA+SPF10、PA+SPF20、PA++

 日本人の70%はⅡに属するので、SPF20、PA++がひとつの標準的サンスクリーンと言える。(SPFは60を超すと、ほとんど差がないので、近年数値の上限は50と定められ、それ以上のものは50+と表記されるようになった。)

日常生活でできるシミ予防

  1.  ビタミンA、C、Eをとる。この3つは、ビタミンACE(エース)と言われ、代表的抗老化・抗酸化も特に海に行く前など多めにとると、紫外線抵抗力が増す。
  2.  スキンケア…肌荒れして、角質層が乱れると、紫外線が透過しやすくなる。
  3.  ストレス、寝不足等も、活性酸素を発生し、間接的にシミの原因になる。タバコもよくない。
  4.  ホルモンバランス…東洋医学では、シミは瘀血のサインととる。当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸などで、ホルモンバランスを整える。(特に生理不順や生理痛のある)

Ⅴシミの治療

1)美白剤

メラニン産生工場であるメラノサイトに働きかける、従来のタイプ(第Ⅰ世代)
 と、表皮からメラノサイトの情報伝達をブロックするタイプ(第Ⅱ世代)とがある。

第一世代

  •  コウジ酸=日本古来の美白剤、マイルドなもの。
  •  アルブチン   ※ハイドロキノンに近い物質
  •  ルシノール
  •  エラグ酸=イチゴから抽出された成分
  •  ビタミンC=よく知られた美白成分であるが皮膚への浸透性はもともと良くないため、最近は、欠点を克服した各種ビタミンC誘導体が開発されている。

※ハイドロキノン・・・米国でシミ治療の中心となっている成分。日本では化粧品への配合が認められず、美容皮膚科などでのみ入手可(刺激性がでることがある。しかし効果は高いとされる)

第二世代

 情報伝達をブロック

  •  カモミラET=カモミールの花からとれる。肌荒れ改善効果もある。
  •  油溶性甘草エキス=皮膚科の治療では、とても評価が高い。医師が認める美白剤。刺激性は少ない。

 他、クジンエキス、火棘エキス、ルムプヤンなどがある。

 いろいろな成分が、いろいろな濃度で配合されているため、美白剤を選ぶのは難しいが一概にどの成分がよいとは言えず、人によって反応が違う。3ヶ月くらい使ってみて、変化がなければかえてみること。

 オウゴンエキス、ビタミンEなどの抗酸化物質を配合した美白剤もある。

2)レチノイン酸

 ビタミンAから作られた成分で、抗老化、抗酸化作用、角質剥離作用がある。

 化粧品のレチノールはレチノイン酸の前駆体で、こちらは化粧品への利用が認可されているが効果はレチノイン酸に比べてやや劣る。

3)ケミカルピーリング

 シミだけでなく、肌全体のくすみが取れ、ハリとつやが出る。(真皮のコラーゲンも増生する。)

 一種の若返りとして、広く欧米でもお行われている。医師の管理のもとできちんと行えば非常に安全かつ有効な治療。

4)レーザー治療

 シミのレーザーと言っても種類はさまざま。

 シミの種類によって使い分けるので、まずシミを正確に診断し(Ⅲ参照)、適切なレーザーを選らんでくれる医院で治療を受けることです。

 シミでなくアザである場合、レーザーでも保険適応になります。

 術後は、すりむいたような状態になり、かさぶたになることもあります。洗顔や化粧水・乳液等は普通にしてもらい、メイクは、レーザーをかけた部分は、よけて行い、1週間~10日ほどで治ります。1cm程度のしみに2~3ヶレーザーを当てても、翌日から普通に会社や学校には行かれます。

Ⅵ 紫外線・シミに関して、よくある誤解

① 少しくらい日に焼けている方が健康的だ。

見た目には、そういうイメージはあるでしょうが、今や、日焼けは、皮膚にとって害の方がずっと大きいことが分かってきています(Ⅰ参照)。

 オゾン層の破壊も進んでおり、日光も、昔の日光とは違うのです。

②日に当たらないと骨が弱くなる。

 サンスクリーンを使っても、どのみち、少しは日光を浴びますので、ビタミンDに関しては、それで十分とされています。

③特に日焼けした事はないのでシミの心配はない。

 日焼けとして自覚されるのは通常サンバーン、サンタンのみです。焼けているという自覚のないまま、皮膚の深部に少しずつダメージを与えるのが紫外線の本当の恐ろしさです。

 曇りの日でも、特にUVAは、皮膚に浸透しつづけています。

④シミが気になり始めたらUVケアやホワイトニングをする。

 紫外線の影響は、子供の時から毎日積み重なっていって、一定量を越すと目に見えて現れてきます。気になってきてからケアを始めても、昔の影響が次々肌に出てきてしまいます。

 皮膚癌の多いオーストラリアでは、子供の時からサンスクリーンを使うよう指導しているくらいです。

⑤日焼け止めはかぶれやすいから使わない方がよい。

 サンスクリーンは肌に優しいもの( 一般的には収入剤フリー、ノンケミカルと表示のあるもの)を選べは、かなり肌の弱い人でも大丈夫です。

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